Q.エステル系ベースオイル

化学合成油といえば最初に市販された化学合成油エンジンオイル「Mobil 1」の採用していたPAO基油をベースにしたものと、比較的低コストで作れるVHVI基油の2種類をその組み合わせが主流である。
エステル(合成エステル)とは、分子構成に電気的な偏りがあるため金属への吸着効果がある。とはいってもそこまで強力に吸着するような力は持っていないが少なくとも、もともとの性質としてそういった作用を持ちえていることは間違いない。
一般的に潤滑成分として重用されてる添加剤は低温度域では作用しないから、その間の潤滑をエステルの特性で補うことができる。
また、エステルは高温下でも油膜保持性が極めて強いというエンジンオイルに適した特性もある。
この2つが特に低粘度オイルを作るうえで大きなメリットとなることはわかる。
エンジンオイルには粘度がやわらかいと油膜も薄くなるという約束事があるため、油膜を少しでも増強する吸着性と油膜保持力はまさに願ったり適ったりである。
またエステルという分子構成は化学式を多彩に作り変えることができるため、オイルとしての特徴を出そうとした場合、いかようにも設計できるという自由度の硬さも特徴。
例えば高負荷&高温下での油膜保持性やレスポンス性能、または極めて大きな粘度指数など、エステルをベースオイルに用いることで個性を作りだしやすい。
そんなエステルをベースオイルに使用しているエンジオイルには、〇〇エステルや△△エステルなど、各製品で異なる名称が使われているが、これはエステルの構造をどう作り変えているかによって違いはが生まれるというわけです。
最もベースオイルにエステル成分のみを使用しているオイルばかりではない。PAOもエンジンオイルのベースオイルとしては今なお非常に優れた性質を持っているため(性能維持力、つまり安定性が抜群)、PAOとエステルをともに使用してベースオイルを作っているオイルメーカーはかなり多い。
ベースオイルによるグループ分類においては、もっと大きな粘度指数が傾向として期待できる「G-5」は「G-4」までのベースオイルとは異なるものという分類となるが、実質的にはエステルを用いたベースオイルがほぼすべてである。粘度指数が大きいということは温度による粘度低下率が低いわけだから、高温下でもしっかりと粘度=油膜を維持できるということになる。
このようにエステルとはエンジンオイルの性能をさらに大きく向上させる、ポテンシャルを極めた新時代のベースオイル成分です。