トレーラー(種類・基準)



現在、トレーラは以下の種類に大分類されています。

第一種 セミトレーラやセンターアクスルトレーラで積車状態の後軸重の総和が 0.75t (750㎏)以下のものを言い、それ以外のトレーラにあっては車両総重量が 0.75t (750㎏)以下のものがこのトレーラに該当します。
第二種 セミトレーラやセンターアクスルトレーラで積車状態の後軸重の総和が 0.75t を超え、3.5t 以下のものを言い、それ以外のトレーラにあっては車両総重量が 0.75tを超え3.5t以下のものを言います。
国交省の基準では3.5t未満は大型トレーラーの様に直接ブレーキで無くても良い間接ブレーキ方式(電磁ブレーキや慣性ブレーキ)でも良いのです。
第三種 セミトレーラやセンターアクスルトレーラで積車状態の後軸重の総和が 3.5t を超え、10t 以下のものを言い、それ以外のトレーラにあっては車両総重量が 3.5t を超え 10t 以下のものを言います。
第四種 セミトレーラやセンターアクスルトレーラで積車状態の後軸重の総和が 10tを超えるもの、それ以外のトレーラにあっては車両総重量が 10t を超えるものを言います。

上記、第一種トレーラと第二種トレーラについて、更に免許や装備により以下の分類に分けることが出来ます。

車両総重量
750㎏以下
けん引車の重量がトレーラの車両総重量の2倍以上ある場合は、連動ブレーキの装着が省略可能で、サージブレーキ(走行時にけん引車との連結が外れた時に自動にかかるブレーキ)を、安全チェーンやワイヤーで代用することが出来、さらにスプリングの装着を省略することが出来ます。

最大積裁量は、軽自動車規格のものは上限が350㎏まで、小型・普通規格のものは車両総重量が750㎏を上限として、50㎏刻みで設定できますが、貨物車の場合、積載量100㎏以上は確保しなければなりません。

免許は「普通免許以上(自動二輪車でけん引する場合は運転する自動二輪車に適した免許以上)」で運転可能です
車両総重量
1500㎏以下
連動ブレーキの装着が必須となり、一軸のトレーラに限りサージブレーキの代わりとして安全チェーンやワイヤーで代用可能、スプリングの装着の省略可能、最大積載量は車両総重量1500㎏を上限として50㎏刻みで設定できます。

免許は「普通免許以上 + ライトトレーラー限定免許以上」で運行可能です。
車両総重量
1990㎏以下
連動ブレーキの装着が必須、サージブレーキの装着が必須、スプリングの装着の省略可能、最大積載量は車両総重量1990㎏を上限として、50㎏刻みで設定出来ます。

免許は「普通免許以上 + ライトトレーラ限定免許以上」で運行できます
車両総重量
3500㎏以下
連動ブレーキの装着が必須、サージブレーキの装着が必須、スプリングの装着が必須となり、最大積載量は車両総重量 3500㎏ を上限として50㎏刻みで設定できます。

免許は「普通免許以上 + 第一種けん引免許以上」が必要となります。
ただし、最大積載量が 3000㎏ を超えてしまうと「新中型免許(旧普通免許)以上」となります。
車両総重量3.5t以下の被牽引自動車(セミトレーラーを除く)は、主制動装置に慣性ブレーキを使用してもよいと定めている。
なお、牽引車の車両重量>2×被牽引車の車両総重量(750kg以下)の場合は被牽引車のブレーキ自体を省略できる。


形状での分類は以下の3種に分類されます。

フルトレーラ フルトレーラとは、少なくとも二軸の軸を持ち、車両に備えられたタイヤなどの走行装置により、トレーラ本体の重量を支えることが出来るトレーラを言います。
セミトレーラ セミトレーラとは、連結装置が負荷する垂直荷重の値が、該当トレーラの車両総重量の10%を超えるトレーラを言います。
センターアクスル
トレーラ
センターアクスルトレーラとは、積載物が均等に積載された次自動車の中央付近に全ての車軸が位置するトレーラで、且つ連結装置に掛かる垂直荷重が、該当トレーラの車両総重量の10%以下のトレーラを言います。

用途で分類すると、貨物、特種(ボートトレーラ、スノーモービルトレーラ、キャンピングトレーラ、ケータリングトレーラ、その他)に大別できます。

貨物トレーラ 荷台が平坦で積載物を限定しないトレーラをいい、この車両の場合、リアのオーバーハングは連結中心から後軸中心までの距離の1/2〈普通車)、11/20(小型車)以内でなければいけません。
ただし、積載物を限定(車載専用等)とした場合、構造要件を満たせばリアのオーバーハングは連結中心から後軸中心までの距離の2/3までとることができます。この時の後軸中心というのは、多軸車の場合は後後軸となります。
特種トレーラ 荷室内に専用設備が設けられており、限定した積載物や、限られた用途専用に製作された車両を言います。
この場合、オートバイトレーラや、スノーモービルトレーラなどの場合は通常通り積載量を設定することが可能ですが、ケータリングトレーラ等の一部の車両については積載量の上限がありますので、構造要件などにより確認することが必要です。

全長


全長については長さ 12 mを越えることができません。この 12 mというのは、トレーラ本体の全長であり、けん引車と合わせた全長ということではありません。12 mのトレーラを実際に作ることは可能ですが、フルトレーラとしての登録となりますので、車軸をトレーラのちょうど真ん中付近に持ってこなければならないため、右左折の際にリアのオーバーハングがかなり長くなり、大型車のトレーラの運転よりも大変になってしまい、道幅の広い主要国道以外は走ることが出来ないような車両になってしまいます。実際にこのようなトレーラを考えている方は居らっしゃらないかと思いますが、長くすればする程、居住スペースや積載スペースに自由度が増えますが、それに比例して移動の際の自由度や運転の難易度が上がると考えてください。小型車としての登録をするのであれば、長さは 4.69 m以下に収めなければなりませんが、車検の際の検査印紙が100円程度安くなる他、自動車税が5,300円となるため普通車の10,200円と比べて4,900円ほど安くなる程度のメリットしかありませんが、積載物が限られていて、普通車にする必要が無いのであればこちらで検討されたほうが良いかと思います。この長さには、積載物の長さは考慮されませんので、小型枠で作って積載時にトレーラの全長の1/10以下のはみ出しは認められておりますので、その範囲で収まるのであれば、小型枠で作ってしまうのもひとつの方法となります。また、フォールディングタイプのトレーラなどの場合は、走行時には折畳まれていることが前提となりますので、キャンプ場などで展開されている状態の全長ではなく、あくまでも収納時(走行時)の寸法が車検証に記載される全長となります。フォールディングトレーラこれは、キャンピングトレーラに限ったことではなく、例えばクレーンを装備したトレーラを製作した場合でも、クレーンを収納した状態がそのトレーラの寸法となります。このことは後から解説する全幅や全高についても同様のことが言えますので理解しておいてください。

全幅


全幅については幅 2.5 mを超えることができません。よく重機を運搬しているトレーラなどで、幅 3.2 mなどというものがありますが、このような車輌は事前に使用する道路の許可や申請などの諸手続きを行っており、あくまでも特殊な用途のものですので、一般の用途に使用されているもので、通行に関して道路使用許可などの申請などを行わなくて良い物とするためには、幅の上限が 2.5 m以下となります。積載時にはトレーラの全幅から 1.0 m以内の幅は認められておりますが、もちろんその最外側が何処にあるかを、対向車や後続車に夜間に於いても明確にわかるようにする必要があります。

全高


全高については地上からの高さが 3.8 mを超えることができません。高さについての決まりは、電話線などが高さ 3.8 m以上のところに取り付けられている関係もあり、自動車の高さを 3.8 m以上にすることができません。レジャー用のトレーラの場合、幅や全長もさることながら、この高さを限界の 3.8 mに設定すると、横風の影響を受けやすく、最悪の場合横転なども起こりうる他、走行できる範囲が著しく制限されることとなるため、あまり実用的ではありません。これは、オートキャンプ場やマリーナの斜路などを利用する場合、各施設に於いて独自の高さ制限などを設けているケースがあり、また主要国道など以外では独自の高さ制限を設けているトンネルや橋梁なども存在します。その為高さをギリギリの上限に設定することは、余計な迂回などを招く原因ともなるため、トレーラの全高は可能なかぎり低くしたほうが、使いやすいトレーラとなるでしょう。キャンプ場などの場合、設定された高さ制限の他にも、樹の枝などが頭上に存在するケースというのは多々あります。トラックが頻繁に出入りするような場所ではそのような枝が手入れされている場合もありますが、キャンプ場のような自然を残しているところでは、期待できません。

最低地上高


トレーラーの最低地上高はその実用性を考慮すると、低ければ低いほど実用性が上がるのですが、走行性能を考えると自ずと限界が出てきます。当然のことながら、道路運送車両法においても明確に定義されており、数値的には最低地上高は地面より 9 cm 以上となります。(保安基準 最低地上高 参照)ただし、これはタイヤと連動して上下するブレーキドラムやディスクローターの下端、緩衝装置のうちのロアアーム等の下端、また自由度を有するゴム製品の部分、更にマッドガードやエアダムスカート、エアカットフラップ等であって、その材質が樹脂製のものに於いては除くこととされており、更に衝撃に十分耐える構造のもの、あるいはアンダーカバーなどにより保護されているものに関しては5cm以上と定義されております。実際の使用においては、最低地上高が 5 cmという場合、よく整備された舗装道路しか走行することができず、ちょっとした段差も乗り越える事ができません。これは程度問題ですが、9 cm以上であってもそれ程変わりはなく、安心して走れるとなると、やはり経験的に15 cm以上はあったほうが良いかと思います。レジャートレーラーの場合、砂利道や砂浜などを走行する機会も多いかと思いますので、最低地上高は可能なかぎり多めにとったほうが良いのではないかと思われます。 また、タイヤのエアーを抜いた状態でどこかの部分が接地してしまうような構造も避けたほうが懸命です。これは、不意のパンクの時にスペアタイヤを持ち合わせていない場合など、緊急に近くのガソリンスタンドなどに走らせる場合、タイヤやホイールなどの回転部分以外が接地してしまうと、まず走行は不能となります。近くにメンテナンスの可能な設備があって、営業時間内であれば良いですが、何かのトラブルが有るときというのは、大概人気の無いところで夜中などに起きるものです。更に、リアのオーバーハングの地上高も重要になってきます。 リアのオーバーハング部分はけん引車がスロープなどの坂道を上がった時、トレーラの尻餅などとよく言われる現象で、オーバーハング部分が地面に接触してしまい、動けなくなってしまうことがあります。こうなってしまうと、前方に進むことは不可能で、後退するしか無いのですが、狭い道などでやってしまうと他のドライバーにかなりの顰蹙を買ってしまいます。大抵の場合は、急なスロープを作らなければならないような状況にある道は、道幅などに余裕がなくて作られていることが多いため、そのような場所で交通を遮断してしまうとどうなるかは想像に容易いと思います。そのためオーバーハングが長くなるようなトレーラで最低地上高が低めのものは、観光バスなどの後端下部のように、斜めにカットされているものが殆どです。

軸重


よく自作されているトレーラなどを拝見すると、セミトレーラの外観を参考として作られているものがあり、軸重についてまるっきり考慮されていないものなどを見受けることがあります。レジャー用のトレーラの殆どは、セミトレーラの分類ではなくセンターアクスルトレーラとなりますので、セミトレーラを参考に作ってしまうと、非常に不具合が発生します。まずセミトレーラとセンターアクスルトレーラの違いですが、セミトレーラというのはトレーラに積載される積載物の重量をけん引車側にも負担してもらう構造であり、センターアクスルトレーラの場合はその積載物やトレーラの重量の大部分をトレーラ自体が負担するという構造になっております。そのためセミトレーラのけん引車側にも最大積載量の表示が義務付けられており、当然のことながら、同じ大型車輌でも積載可能な重量を持たないバスなどではけん引することができません。フルトレーラの場合は乗用車などでもけん引できるように、トレーラに掛かる重量はトレーラ本体で負荷する構造のため、けん引車側には坂道でも引っ張ることができるけん引能力や、安全に停止することができる制動能力などしか問われず、積載に関するけん引車への定義はそれほど限定されておりません。実際の数値で申し上げますと、センターアクスルトレーラの場合、カプラー部分(ヒッチボールと接続される部分)にかかる重量は、車両総重量の1/10以下と明確に定義されているだけで、例えばトレーラーの重量と積載の重量の合計が2000kgだった場合、カプラー部分には200kgまでしかかけてはいけませんということだけです。そのため、セミトレーラの様に車軸をトレーラの後端に持って行くと、カプラー部分に掛かる重量が自ずと上がっていき、実際に荷物を乗せるとカプラー部分を一人の力では持ち上げることもできないほどの重量になってしまいます。けん引車が貨物車で、積載量の範囲内であれば、さほど問題も無いでしょうが、そのようなトレーラを乗用車で引くことは非常に危険です。カプラー部分にかかる重量があまりにも重いと、乗用車の後軸を中心に前端が持ち上げられるように力が加わり、ハンドルを切っても操舵力がタイヤに伝わらないと言う現象が起きてきます。トレーラ連結時にけん引車が極端に尻下がりになっている場合、この可能性がありますので注意をする必要があります。後で詳しく解説しますが、おおよその目安として、まず積載スペースや居住スペースの長さを計って、その中心よりちょっと後方に車軸を取り付けると、バランス的に調度良い乗り心地になりますが、製作方法や装備品などによっても変わってきますので、実際に測定しながらというのが良いのでは無いでしょうか。走行装置について此処で言う走行装置とは車軸やタイヤ、ホイールなどについてで、車軸に関しては当社からユーザー様の使用目的や基本となるトレーラの車両総重量より提供させていただく車軸を使用することを前提としているので、特記することはありませんが、ホイールやタイヤに付いても細かな定義が存在します。

ホイール


ホイールはスチール製のものについては特に気をつけなければならない定義は存在しませんが、アルミなどの軽合金製ホイールの場合、JWLマークやJWL-Tマークが、また輸入ホイールに関してはSAEやTUV?等の各マークが刻印されていなければなりません。これは、ホイール装着時にも見えなければならず、場合によっては検査場でホイールを取り外し実際に確認されるケースも有ります。VIAなどの刻印も見ることができますが、この刻印があればJWLやJWL-T双方の基準に合格している商品であるため問題ありません。ここで問題になってくるのがJWLとJWL-Tの区分で、JWL-Tの方は雰囲気的におわかりかと思いますが、トラックなどの貨物車に対応しているということになり、トレーラの場合は全てこのJWL-Tマークが?必要となります。もちろんVIAマークが付いているのであれば問題ありません。

タイヤ


タイヤはそのタイヤごとにロードインデックスというものが存在し、荷重指数が明確に表示されております。例えば195/85R-16 114/112Lというタイヤの場合、この114/112というのが荷重指数となり、114というのがシングルで使用した場合の荷重指数で112というのがダブルで使用した際の指数になります。なぜダブルの方が指数が低くなるかというと、隣り合ったタイヤ同士が接近し接触することを懸念して安全マージンを取っているためです。当然ダブルタイヤの場合は荷重指数が一輪あたりで二倍、一軸あたりは更に二倍の荷重指数となります。この荷重指数はkgでもlbsでも無いためkgに換算するためには公式ではなくて換算表が必要となります。以下にその換算表を記します。この表を参考にすればタイヤの選択が可能となります。例えば、積載量を 2000 kg、トレーラー本体を 500 kgで製作するとした場合、車両総重量は 2500 kgとなります。フロントのカプラー部分にかかる荷重は10%以下であるため、2500 kgから 250 kgを引いた 2250 kgが後軸に掛かる荷重となります。これを2軸で受けるのであればタイヤ本数は4本なので 2250 kg÷4 で 562.5 kg以上の荷重指数のタイヤが必要となります。この場合ですと荷重指数は89以上のタイヤがあればタイヤ自体の強度は満たされることとなります。また、この荷重指数の他にもプライレーティングによる荷重表示方法も存在しますが、こちらの場合は、荷重指数の様に単一な表記ではなく、サイズによっても耐荷重が変わってきますので、都度タイヤメーカーなどに問い合わせる必要があります。

車軸


車軸には左右のタイヤを一本の軸でつないでしまう「リジッドアクスルタイプ」の車軸と、左右がそれぞれ独立して懸架する「IFSタイプ」の車軸があります。トレーラで一般に多用されているのはリジッドタイプのアクスルで、構造が簡単なため少ない部品点数で設置することが可能で、故障やトラブルが少ないというメリットがある反面、左右のスプリングより下の部分の荷重(バネ下荷重)がどうしても重たくなってしまい、乗り心地の悪化を避けることができません。トレーラの場合、通常は人が乗って走行するということはありえませんので、乗り心地の悪化はそのまま荷物やもしくはキャンピングカーなどの内部に積まれる什器への衝撃として現れます。振動や衝撃というものは、荷物や什器に取って決して好まれるものではありませんので、バネ下の荷重をなるべく少なくなるように車軸を作り上げていくか、あるいはスプリングをエアサスペンションにするなどの振動対策でかわすなどの方法を取る必要があります。左右が独立して動く「IFSタイプ」のものであれば、基本的にはバネ下の荷重を軽くできるのですが、アームやリンク類など、部品点数が多くなり、必要な強度以上で作り上げてしまうと、「リジッドタイプ」のものよりも最終的に重くなってしまったなどということも無いわけではありません。そのためある程度の強度的な知識を有する方や、自動車整備などの経験のある方で、足回りにかかる応力等に精通された方が挑戦するには良いのでは無いでしょうか。「リジッドタイプ」の車軸には、左右のタイヤ中心部に左右を連結する軸をもつ「ストレートタイプ」と、左右を連結する軸が下方にオフセットしている「ドロップタイプ」が存在します。当然「ドロップタイプ」の方がトレーラ製作に於いて設計の自由度が増えるわけですが、車軸からスプリングに荷重を伝達させる前に、車軸にオフセットされている部分があるため、応力の集中を受けやすくなり、その部分の補強が必要となってきます。そのため「ストレートタイプ」よりは若干、重量増を招きやすいのですが、それを補っても余りあるメリットが有るため、現在のトレーラの車軸では、特殊な用途の場合や廉価版のトレーラを除きこの「ドロップタイプ」が主流となっております。


左よりリジッドストレートタイプ、リジッドドロップタイプ、IFSスイングアームタイプとなっております。写真では分かりづらいですがIFSタイプのスイングアームタイプは例として一例を上げましたので、こちらのタイプがIFSタイプの全てではありません。写真中の黒い部分がスイングアームとなっていて、その付け根の左右を連結している軸に見える部分にゴムのスプリングが入っており、そのゴムが捩れることによって緩衝効果を生み出すラバートーションスプリングタイプのものです。

車軸数


車軸の数については、様々な要素が複雑にからみ合ってきますので、その全てをバランスさせた妥協点で決定するより方法が無いかと思われます。以下にそのメリットとデメリットを上げることとします。まず単軸にする場合のメリットとして、高速道路の料金が普通車を1.0とした場合、小型車または普通車で一軸のトレーラーをけん引の場合車種区分が4となり、料金は1.2倍となります。これはトレーラーをけん引している状態の車輌の中では最安値の金額となります。 また、タイヤは通常(ダブルタイヤの場合などを除く)左右で2本の装着になると思いますので、同じものを使用したとした場合、タイヤやホイールの料金が2軸以上のモノと比べて半分以下で済みます。ただし、同積載重量で2軸負荷のものと1軸負荷のものでは、2軸負荷のモノのほうが、タイヤの負荷指数を小さくできるので、タイヤ単体の料金は2軸負荷のモノのほうが安くできることとなります。もちろん製作時に於いても、車軸の料金やブレーキの料金、ベアリングなどからスプリングにいたるまでの料金(これも同一製品を使用した場合です)も半分以下ですみ、メンテナンスに関しては一回あたりの作業時間や金額は削減できることになります。 単軸の場合のデメリットとしては、負荷重量が大きくなるとそれを負荷することのできるタイヤの荷重指数等より、大径のタイヤを選択するより選択肢がなくなり、低床化が困難になり易いほか、設計の自由度が限られて来ることが挙げられます。更に単軸で許容重量の大きな車軸の場合、どうしても堅牢に製作しなければならず、部品の単価が上がる傾向になりやすく、更にバネ下重量の増加に伴い、乗り心地の悪化は免れず、同じマージンを持って製作された複軸の物よりもメンテナンスにかけるサイクルを短く取らなければならないなどのデメリットも有ります。 複軸のメリット・デメリットは単軸のメリット・デメリットを上記の逆の傾向と考えていただければ良いのではないでしょうか。 高速道路の料金は、小型車または普通車で2軸以上のトレーラーをけん引した場合、車種区分が2となり大型の料金と同じ普通車との比率で1.65倍となります。これらの条件をバランス的に考えて車軸数を決定するのが理想的です。(ただし、軸間距離が 1.0 mを超えないものであれば、一軸車両とみなされます)車両総重量が750kg以下のトレーラーで2軸にされている車両もたまに見受けられますが、見た目のインパクトはあっても、限られた総重量の中であえて車輌重量を増やし積載重量を少なくしているため、メリットはないと断言できます。

緩衝装置


緩衝装置にはその分類としてスプリング本体と、懸架装置に大分類されます。スプリング本体はコイルスプリングやリーフスプリング、エアスプリングなどで、懸架装置というのは車軸の項でも述べましたリジッド式なのかIFS式なのかにより、4リンクあるいは3リンク式などのリンク方式だとか、レジャー用のトレーラーではあまり使われませんがウォーキングビーム式なのかまたはトラニオン式なのかなどの分類となります。通常の場合、リーフスプリングを使用してそのリーフスプリングを車軸の固定にも使用するケースが多いため、リーフスプリングを使用する場合に於いてはあまり深く考えなくても良いのですが、それ以外のスプリングを使用する場合は、トレーラの下部に入り込む部分ですので慎重に考えなければ、思いの外高床になってしまったとか、最低地上高を規定よりオーバーしてしまったなどということにもなりかねませんが、設計を綿密に行うことにより、リジッドのリーフスプリングでは実現できないような低床化なども作れるのがリジッドリーフスプリング以外の魅力でもありますので、ご検討されてみては如何でしょうか。以下より各スプリング解説を行っていきます。
スプリングにはコイルスプリング、リーフスプリング、トーションバースプリング、ラバースプリング、エアスプリングなどが存在します。

コイルスプリングは接地面積を小さくできるなどのメリットがありますがコイルスプリング自体に車軸の固定能力がないため、コントロールアームやスイングアームなどの懸架装置が必要となり、その構造が複雑になりやすい傾向にあります。また、後の項で述べますが、単軸の場合は問題がなくても、複軸になるとイコライズ機能を装備しなければならないためその構造が複雑になってきます。良く考えられて作られたものであれば、バネ下重量の軽減がリーフスプリングの比ではなくなりますので、乗り心地の向上などにかなり有効な効果を期待することができます。
リーフスプリングの場合は車軸の固定をリーフスプリング本体で行うことが可能なため、その他の懸架装置に依存する部分を無くすることも可能で、簡単なシステムを構成することが可能です。またイコライズ機能を配置することも比較的簡単ですので、短軸をはじめ複軸の車輌にも比較的容易にシステムを組むことが可能となります。アームの代わりをスプリングが兼用するため、その剛性は強く取る必要があり、スプリングとして稼働する部分がある程度の重量を持つこととなるため、どうしても乗り心地の悪化などは避けられません。簡単なシステムで済むため、トラブルの要因になるような部分も少なく設計できますが、通常は左右の車軸を連結したリジッド式としなければならないため、低床化を計った時などは設計の自由度に限界が出てきます。
トーションバースプリングはバネとなる軸の一方を固定し、残りの一方にアームを取り付け車輪を固定することにより、バネとなる軸を捻る事により緩衝効果を得るというスプリング形式で、バネ下の重量に当たる部分に該当するのは、ホイールやタイヤ、ハブなどの他は、車輪とスプリングを連結するアームのみとなるため、その作り方によってはバネ下重量を軽くすることができる他、スプリング自体が鋼製の棒状のものであるため、設置するに当たって、スプリング上方のスペースをあまり必要としないため、設計の自由度が広がります。この方式の場合もイコライズ機能の設置にはノウハウが必要となるため、単軸の場合には簡単にインストールすることが可能でも、複軸になると容易にはいきません。またトーションバースプリングに使用されるアームは、その回転運動の支点になる部分にスプリングが取り付けられるため、強度的にかなり高強度なものが要求されることとなります。そのため、アームには強度と軽さを考慮した設計が必要となります。tortionaxle
ラバースプリングは、様々な使われ方があり、コイルスプリングの様に車軸とフレームの間に挟めてゴムの弾力を利用して緩衝効果を得る物、トーションバー的に使用する方法もあり、上図の様にアーム軸と左右を連結している軸の間にかまぼこ型あるいは三角形状のラバースプリングを設置し、アーム軸が回転することにより左右連結軸とのあいだの空間の形状変化を利用してそこに設置されているラバースプリングを圧縮し、緩衝効果を得ようとする構造のものとなります。先述のトーションバースプリングはこの図中のアーム軸の片方(左右連結軸の中に入っている方)を固定しアーム軸自体のねじりによって緩衝効果を得る構造となっております。ラバースプリングも複軸にする場合は、イコライズ機能を装備するためには何らかのリンク機構を装備しなければなくなります。
エアスプリングは、最近アフターマーケットに於いても多数の商品が存在し、その耐荷重もトラックなどに使われているものや、更に言えば列車などにも使用されるものもあり、様々な商品が用意されております。構造の基本となるものは一部の金属とスプリング部分となるゴムですので、コイルスプリングやトーションバースプリングなどよりも素材の優位性より、スプリング本体の重量を軽くすることができ、更に末端形状が、エアスプリングの場合は平らなものが多く、ボルトで固定される形状のものがほとんどであるため、コイルスプリングのようにその末端形状に合わせたスプリングシートなどの製作の手間が不要となります。更に乗り心地の優位性については、物流業界に於いて道路輸送の際にエアサス装着車でなければ運ぶことを認めていないビールメーカーもあることなどからもうかがい知ることができます。複軸化のイコライズ機能については、左右輪ごとに、圧縮空気をバイパスすることにより、ある程度のイコライズ機能を有することができますので、複軸化も比較的容易なスプリングとなります。ただし、空気という流体を使用している以上、エア漏れなどの不安はつきまとうこととなり、コンプレッサーを車輌に設置するのが常識となっているため、部品点数が増える事や、その機器に関わる配線や配管が必要となるため、複雑なフェイルセーフが必要となります。また、圧縮エアーを使う以上、凝縮による水の混入は避けることができず、その水分を確実に取り除かなければ、寒冷地などでは配管内で凍結することなども考えなければならないため、配管内における水分除去対策も必要となります。

ブレーキ


日本では750kg以下のトレーラーは、牽引車両の重量がその2倍以上あれば、トレーラー用のブレーキは無くてもよいことになってます。
慣性/電気ブレーキは、トレーラーに装備してある主ブレーキ(補助ブレーキ)のことを指します。
連結減速時にけん引車が押されないようにする装置のことで、ブレーキを作動する方式によりその名称があります。
なお、駐車ブレーキ(パーキングブレーキ)とは違います。

駐車ブレーキ 空車トレーラーの駐車ブレーキをかけて、けん引したときにタイヤが動かないことが条件です。特にディスクブレーキのトレーラーは、ブレーキをかけていてもタイヤが動いてしまう場合があるので注意しましょう。チェーンをホイールにかけて駐車ブレーキとする場合は強度十分なチェーンであれば問題ありません。
機械式慣性ブレーキ トレーラーカプラー部分が伸び縮みすることにより、ブレーキワイヤが作動、機械的にブレーキがかかる仕組み。ヨーロッパ製のトレーラーに多く、小さなトレーラーでも装備されていることが多いです。ドラム式が一般的です。
この装置が装着されているトレーラーをけん引するにあたり、けん引車側の改造は特に必要ありません。
油圧式慣性ブレーキ 機械式慣性ブレーキに似た仕組みですが、制動伝達はブレーキワイヤでなく、油圧式ホースを使用しています。最近は、ディスクタイプが多くなりました。
アメリカ製の大型トレーラーに多いです。
電気ブレーキ けん引車に設置された電気ブレーキコントローラーによって、減速時にトレーラー側へ電流を流します。トレーラーはその時の電流量によってブレーキの掛け具合を調整します。電流量は、先に出た電気ブレーキコントローラーが制御しています。
トレーラー側に別途ブレーキ用のサブバッテリが装備されている場合があります。
キャンピングトレーラーで多く使用されています。
この装置が装着されているトレーラーをけん引するにあたり、けん引車側に別途電気ブレーキコントローラーの設置が必要です。

灯火装置等


トレーラを製作して行く過程に於いて、「電気周りは最後にやればいいや」と考えていると、配線が結構目立つところを通ってしまったり、不要なところに穴をあけなければならなかったりと、美的な問題のみならず、穴をあけることにより、サビの発生のリスクや更には強度的な問題にまで発展する可能性も無いわけではありません。トレーラの製作段階に於いて必要な灯火装置を何処に配置するかなどということも重要な課題となります。最近のトレーラの灯火装置の基準は以前のものから変更となり、その視野角や光量などにも決まりごとが存在するため、簡単に考えていると灯火装置を付ける場所が無いなどの問題が発生します。前もって、検討しておくことにより、必要な配線の長さや太さなどの積算も可能となるため、無駄な出費を控えたり、モノが足りなくなって何度も買いに行ったりという手間も省けます。更には配線を通す場所も検討できるため、見えない場所に配線をしまうことができ、仕上がりも数段に良くなりますので、後回しにするのではなく、事前にしっかりと検討することをお薦めします。 › 灯火装置の保安基準適合検討書の書式

ボートトレーラの製作


ボートトレーラを製作するにあたって、一番気をつけなければならないことは、水に付けることが前提で有るため、各部の排水処理能力です。防水能力としないのは、フレームなどの構成材や灯火装置などに於いて、いくら防水と謳われていても、その効果は永久ではないため、水が入ってしまうことを前提とし、後はその入ってきた水をいかに残さずに排出するかを考えたほうが、最終的に長持ちするという結果にたどり着いたためです。 実際にトラックなど長期に渡る耐久性を求められるものに於いても、パイプ材などを使用した場合には、完全に密閉してしまうのではなく、あえて穴などを開けて水の抜けを良くしています。これは密閉しているということは、逆を考えると入ってきた水が抜けづらいということで、それが海水であれば各部に与えるダメージはとても大きなものになってしまうのは、簡単に理解できることで、水さえ抜けてしまうのであれば後は洗剤を使用した洗車などにより、容易にメンテナンスが可能となるため、フレーム材などに於いては端部をふさいでしまうのでは無く、あえて筒抜けの状態にしておいたほうが良いということを意味します。 フレーム材に於いては、なるべく特殊な加工を施さず、溶接などの火を入れることも極力避け、ボルトナットの締結を主体とします。こうすることにより、例えば右側のフレームのサビがひどくなってきたときには右側のフレームだけを再度製作し、付け替えることにより、なんの問題もなくまた使用することができるからです。溶接により固定してしまうと、熱の加えられた金属は錆びやすくなるばかりか、そのような状況に於いて交換が必要となった場合において、ボルトで締結されているものよりもはるかに手間がかかってしまいます。そのようなメンテナンスが面倒くさいのであれば、一思いにステンレスにしてしまうのも手です。ドブ漬けのメッキを依頼するくらいであれば、主要な骨格を総ステンレスにした方がサビの心配からは解放されます。ドブ漬けのメッキと言っても海水に付けると寿命は著しく低下し、傷などが入ってしまえばそこからサビが発生し、修理をする場合、その周囲のメッキは剥がされてしまいます。ステンレスの場合、ヘアーラインや磨きがかかったものでなければ、炭素鋼材と比べても値段が倍も違うということはありません。ステンレスを使用する場合注意しなければならないのは、溶接が必要な箇所においては、溶接棒や溶接ワイヤーがステンレス用でなければなりません。ステンレスの特性として塩化物は表面の皮膜を侵しやすいので洗わなければならないことに変わりはなく、電位が高いため他の鋼材などと接触させて固定しておくと、電蝕という反応が発生し、他の金属を錆びやすくします。またアルミなどのリベットは総アルミ製ならまだしも、他材質と組み合わせる場合、電蝕によりあっという間にボロボロになってしまいますので腐食の激しいアルミなどのイオン化傾向の高い金属は使用しないほうが得策です。 船台となる部分のフレーム部分は角パイプ形状でも、安価で曲げ加工を行ってくれる鉄工所が各地に存在しているので、最寄りの鉄工所などに相談してみると良いでしょう。水に浸かることを考慮すると、可能なかぎり溶接などの火をいれないほうが長持ちします。 車軸は船の形状にもよりますが、通常のものはV型のハル形状をしているため、車軸を左右連結させているリジッドタイプのものであれば中央部分にハルのトップの部分の逃げを作ったほうが、低重心化を図ることができ、また船の積み下ろしを容易にすることも可能となります。左右の車軸を左右それぞれ独立させる独立懸架方式、いわゆるIFSタイプの構造にすると、左右をつなぐ部分が存在しなくなるため、キールが地面にするまでボートの位置を下げることも可能となります。ただし、IFS仕様にすると、リジッドアクスルのものより構造が複雑になり、部品点数も増えるため、ある程度の知識をお持ちの方にお薦めいたします。 お取扱商品 お役立ちツール  ページに、ボートトレーラの一般的な図面をアップロードしておきますので、こちらも御覧ください。 ボートトレーラの場合、基本となるフレームは左右のメインフレームとクロスメンバーだけですので、点数にすると簡単なものの場合でフレーム材は8点程度となります。これ以外の部分は、緩衝装置の方式や船台部分をローラー式にするのかあるいはバンク式にするのかなどによって変わってきますのでメインとなるフレームは、たったこれだけで完成します。

多目的トレーラの製作


多目的トレーラは、前述のボートトレーラとは違い、明確な荷台を持っています。多目的トレーラに於いて積載する荷物が限られていて、積載重量の配分が明確な場合は、その荷重に合わせたフレームの配置をすることが望ましいですが、多目的トレーラーの名前通り、様々な形状の積載物を想定する場合は、荷台部分の全域に於いて同様の強度を有するように設計し、積載時にその積載方法によって車輌の疲労を軽減する方法をとることとなります。ボートトレーラのクロスメンバーに当たる部分は多目的トレーラーの場合、「桁」と呼ばれることが多く、その桁の数を増やすことにより、荷台はもちろんひいては車枠自体の強度を増すことができますが、それは同時に重量をも増加させることとなり、積載の減少などに繋がる可能性も発生します。多目的トレーラの場合、通常荷台の上面には、床板やコンパネなどの木材や、縞板や鋼板などの金属材を使用しますが、規格物の板材は3×6や4×8などの寸法となっておりますので、その積載されることが想定される積載物の荷重の掛かり方や床材の材質などを考慮して決めることが一般的で、3×6材の場合は幅が約 914 mm前後、長さが 1829 mm前後のため、その想定される積載重量により桁間の幅を 304 mmや 457 mmなどから選択するのが一般的となります。4×8材の場合は幅が約 1219 mm、長さが 2438 mmとなるため、304 mm、または 405 mmなどから桁間の幅を選択します。機械製品の様に重量があり、接地部分が4箇所や6箇所などの足によって支えられているものは、その重量を部分的に支えることとなり、掛かる荷重の位置も常に一定ではないため、そのような積載物を積載する機会の多い場合は、鋼板製の床板で桁間の距離は短めに取るのが常識となっております。また、多目的トレーラは通常、上部から見た場合、荷台が四角形状になる場合がほとんどで、荷台の輪郭を形成する四角部分の構成材も車枠として強度の算出をすることができます。そのため荷台部分の構成材で強度が担保できているのであれば、連結中心から荷台部分を連結している連結棒の部分を荷台全域に渡す必要がないため、重量も軽減することができます。多目的トレーラの場合で積載物が限定されないものの場合は、なるべく荷台の高さを低くした方が低重心化を図ることができ、走行安定性を向上させることができます。フレーム構成材中、連結棒となる部分の前側突出量はけん引する車輌の全幅の1/2以上にすると、転回時のけん引車とトレーラーの接触事故を少なくすることができる他、実際の最小回転半径をも小さくすることができます。

キャンピングトレーラの製作


キャンピングトレーラの製作に関してはまず使いやすい室内レイアウトを優先的に考えることをお薦めいたします。例えばシンクやシャワールーム、トイレなどを装備する場合は、その様な水回りのモノを前後に振り分けてしまった場合、重量バランス的には理想的かもしれませんが、いざキャンプ場などについて生活すると非常に使いづらいというケースのものも多く存在します。左右に関しての重心位置は、バランスを考えていただき配置していただかなければなりませんが、前後の配置については多少の範囲であれば、車軸の位置の僅かな移動で対処できるケースが殆んどです。車軸の位置についてもトレーラ全長の最後端になるというわけではありませんので、最小回転半径などにもそれ程大きく影響することはありません。そのため住宅の間取り図のように、例えばフライフィッシングに特化したキャンピングトレーラであれば、フライタイイング用の部屋を最前端に設けるとか、サーフィンやウエイクボードに特化したトレーラであればトレーラ後部に跳ねだしのシャワーブースを設けるなど、せっかく自作されるのであれば、ご自身の趣味に特化させるほうが、市販のものよりもはるかに使いやすくなることは必至です。間取り図が決まればおおよその重量バランスは算出することができますし、またもしそれが不可能であったとしても、おおよその重心位置に車軸を仮組みしておき、完成した後にバランスを見ながら車軸の位置を正式に決定しても問題ありません。キャンピングトレーラに於いては、室内高が 160 cm以上必要で、50 cm× 180 cmの大きさを一人分とした1名以上分の就寝スペースが必要で、また炊事設備や水道設備の設置が義務付けられています。

就寝設備 就寝設備は、幅 50 cm×長さ 180 cm以上の平坦な面が必要で、上方には「1人当たりの就寝部位毎に、就寝部位の上面から上方に 0.5 m以上の空間を有すること。ただし、就寝部位の一方の短辺から就寝部位の長手方向に0.9mまでの範囲にあっては、0.3m以上の空間があればよい」と謳われております。これは、腰から下に当たる部分の上方空間は30cm以上あればよいが、腰から上の部分に関しては、上方に50cm以上の空間を儲けなさいということです。その腰の位置と言うのが、長さ180cmのうちのどちらか片方から90cm以上の部分と言う事で、実際にその様な空間で寝ようとすると息苦しくてたまりませんので、現実的にはもっと余裕を持って製作されると思いますので、このような決まりがあるということだけを覚えておいていただければ良いのではないかと思います。また就寝人員も、1名以上となっておりますので、ご家族が5名であれば、通常は5名分の就寝スペースを作られると思います。こちらもこのような取り決めがあるとだけ、頭の隅にでも入れておいていただければと思います。就寝設備で注意しなければならない点は、室内の有効利用のため、座席と兼用とする場合でありますが、座席と兼用とした場合は就寝設備としたときに水平にならなければなりません。これが例えば就寝設備として他に要件を満たす就寝設備を持たない場合で、この座席兼用の就寝設備が水平にならなかったとした場合、構造要件を満たしていないということになり、登録することが出来なくなってしまいます。もちろん、他に1名分 50 cm× 180 cmの就寝専用の設備や、水平になる座席兼用の就寝設備を備えているのであれば、その時点で要件は満たされますので、問題はありません。
炊事設備 炊事設備はコンロ等によって炊事作業を行うことができる設備で、カロリー等の基準はありませんので、LPガス等のボンベを積載した本格的なものや、カセットコンロ、キャンプ用品でホワイトガソリンを使用するストーブを使った物など、多様になっております。LPガスのボンベを使用する場合、その保管方法には規定が存在し、「車室内と隔壁で仕切られており、かつ車外と十分な通気が確保されていること」また「振動等によって損傷を受けることが内容確実に取り付けられていること、また損傷のおそれがある部分は適当な覆いで覆われていること」となっております。カセットコンロやキャンプ用のストーブの場合などで、使用しない場合に収納しておく場合は、そのコンロを設置する専用のスペースと、確実に収納することのできる収納スペースが必要となります。いずれの場合も、火気等の熱量を発生する場所の付近には、その熱に因る火災を発生しないよう、耐熱性・耐火性を有した構造で窓や換気扇による換気設備が備えられている必要があります。炊事設備の上方は、通常人が立って作業することが前提となりますので、床面から 1.6 m以上の天井高が必要となります。また、調理台として 30 cm× 20 cmの調理専用の平面スペースが必要となります。家庭で使うまな板をおけるスペースと理解いただければ良いのでは無いでしょうか。
水道設備 水道設備の構造要件は、給排水の水用のタンクがそれぞれ10㍑ずつ以上を有していること、洗面台には水を貯めることが出来る構造であること、となっております。タンクの配置場所については特に規定は無く、低重心化を図るため床下に設置しても大丈夫ですが、ポリタンクなどの簡易タンクを使用し取り外しが可能なものの場合は、他の部位と明確に区別ができる専用の収納スペースが必要となります。タンクの容量は最低が10㍑なので、例えばシャワールームを設置したもので給水タンクの容量が200リットルとしても、なんの問題もありません。ただしシャワーにしか使用しないため、排水タンクは不要だという訳にはいきません。給水、排水のそれぞれのタンクの容量が10㍑以上必要とありますので、最低でもタンクは2つ以上ついていなければなりません。給水の方法については特に明確な規定はなく、給水タンクを蛇口より上方に設置し、自然落下式としても、給水ポンプを使用して電気式としても問題ありません。キャンピングカー用の吸水ポンプは比較的高価でありますが、よくDIYショップなどで販売されているお風呂の残り湯を洗濯機に移す洗濯ポンプなどは、吐出容量も数種類あり、比較的安価なものが多いため、そちらをお薦めします。洗濯ポンプはAC 100 Vで駆動しますが、これはAC-DCのコンバーターを使用してDC 12 Vで動作しているものがほとんどですので、AC-DCのコンバーターを外し車載の 12 Vに接続することにより、直流の12Vで使用することができます。この場合、安全装置などが取り外されてしまっておりますので、ヒューズを設けるなどのフェイルセーフが必要となります。水道設備が占有する面積としまして、上方からの投影面積が 0.5 ㎡以上あることと定義されておりますので、この面積を満たしていない場合は、設備の要件が満たされていても、水道設備としては認められません。室内にポリタンク用の収納スペースを設けた場合、それは専有面積に含まれますが、床下にタンクを設置した場合は上方からの投影面積に含まれませんので、このような場合も注意が必要です。
その他の設備 その他キャンプをするにあたって必要と思われる設備、例えばトイレやシャワールームなどの場合、それをキャンプ用設備として専有面積に入れることは可能ですが、室内に四輪バギーを積むとかモトクロッサーを積むなどという場合、積載スペースとなってしまいますので、それらの有する面積がキャンプ用の設備が占める専有面積を上回ることはできません。厳密に言いますと、キャンピングトレーラーの総床面積の1/2以上はキャンプ用設備で占められていなければならず、炊事設備や水道設備などの設備の全面50cmまでは作業スペースとしてみることができますので、これらの設備の面積や就寝設備、椅子やテーブルなどの固定されたものの面積の総和がキャンピングトレーラーの床面積の1/2以上なければならないということです。この基準は容易に満たされることと思いますが、積載スペースを必要とする場合などは面積の取得に苦労することとなります。このような場合は床面に絨毯や畳などを敷いて平坦な部分を作り、モトクロッサーなどを収納する場合はその上にシートなどを敷いて積むなどの方法を取るより他に方法はないかと思います。床部分に絨毯や畳などを敷いている場合、就寝スペースとして計算することができますが、床材がむき出しの場合(クッションフロアーやコンパネなど)は就寝設備として認められませんのでご注意ください。 キャンピングカーのフレームに付いては、多目的トレーラのフレームに準じますが、可能なかぎり床面を低くした方が、キャンプ時並びに走行時に於いてもメリットが出てきまキャンピングカーの場合、どうしても側面から見た際の投影面積が大きくなってしまい、走行時の横風を受けることが多くなってしまうため、低重心化と居住性の双方を満たすためには低床化が必須項目となってきます。その為、通常のキャンピングカーの場合、タイヤハウスを室内側にインセットし、ラバートーションスプリングのアクスルを使用するなどして、可能な限り底床化させたフレームとなることが通常です。 またキャンピングカーの場合、フレーム部分だけでなく上物の構造体に於いても、骨格が必要となるため居住スペースとなる空間部分は走行時の風の抵抗や、室内荷おける設備の固定などにも耐えうる程度の強度を有した骨格が必要となります。強度的に主要な部分を鋼材などで製作し、その間に入る部分は軽量な木材を使用するなどして、軽さと強度を兼ね備える必要がありますが、基本的に窓や出入口等の開口部分は、応力の集中が起こりやすいので、その様な場所には補強を入れるか、強度のある材料を使用したり、材料の間隔を狭くするなどの対策が必要となります。外装のパネルなどに於いてはFRPを使用するほうが最終的に安くまた、デザインの自由度も上がります。トレーラーの外板を作成する程度であればそれ程技術が必要なわけでもなく、容易にどの様なサイズの板でも製作可能ですし、1方向に於いてとはなりますが、曲面も容易に取り入れることが可能となります。ある程度の大きさで作るのであれば、接続部も少なくすることができ、雨漏りなどの解消にもなりますのでぜひとも利用したほうが良い材料の一つです。外板のパネルが出来上がりましたら、内部工事に移る前にある程度の配線や配管の取回しをしておいたほうが、後の作業が楽になります。従いましてこの時点までには、室内のレイアウトなどが決まっていなければなりません。 配線や配管の取り回しが完了しましたら、防音や保温性を考え、必要に応じてグラスウールやスタイロフォームなどの断熱材を入れ、内装の施工となります。断熱材は必須ではありませんが、キャンプ場等での睡眠時に周りの音が気になる方や、エアコンを装備する場合、また冬期間なども利用を考えている方などは、ぜひとも使用したほうが良い材料です。完成した後に事後工事とする場合、非常に手間がかかりますので、予め対策をとっておくのが懸命ではないでしょうか。 内装の壁材は住宅の場合、石膏ボードなどを使用しますが、キャンピングトレーラーでは使用しません。なぜならば重量がある他にも、石膏が崩れやすく、振動などに弱いためすぐにボロボロのなってしまうためで、キャンピングトレーラーの内装壁材にはプリントベニヤ合板が多用されます。これは薄いベニヤ板に予めプリントされたクロスが貼りつけられているものと思っていただければ良いのではないかと思いますが、施工も容易で様々な模様のモノが存在するため、自分好みに内装の雰囲気などをアレンジすることが可能です。内装の壁や天井の施工が完了したら、床部分の仕上げを行い、キャンピングトレーラーとして必要な各設備の取り付けを行い、キャンピングトレーラーは完成となります。以上で各トレーラーの骨格となるフレームやボディーの部分の概要をつかむことができたかと思います。 ここまで実際に製作すると、もうすでにトレーラーの全貌が明らかになっており、すでに出来上がったかの様な錯覚にさえ陥ることと思います。後は車軸の位置を決定し、電気まわりの配線やブレーキ関係の配管などをすませばトレ-ラーとしては完成いたします。このように、トレーラーの製作は法規的な部分を把握し、それなりの設備などがあれば、作る事自体は至って簡単な作業となります。 後はナンバーを取得するための書類の作成が残っているだけです。